匿名組合

夢のある事業を応援し配当も期待できる
新しいお金の使い方

 最近、○○ファンドというものが増えてき
た。ファンドには、会社型・信託型・組合型
があるが、注目されているのは組合型、それ
も匿名組合によるものだ。NPOバンクなど
の任意組合は、当事者が出資し共同で事業を
営む民法上の組合だが、匿名組合は組合とは
付くが団体ではなく、営業者の単独企業で商
法に基づく。匿名組合という言葉を初めて聞
く人でも、アイドルファンド、ミュージック
ファンド、市民風車ファンドなどは聞いたこ
とがあると思う。いずれもが匿名組合だ。

 特定の事業のために出資を集め、その事業
終了後、損益を均等に分配する仕組みで、小
口出資が可能で広くから短期に集められる特
徴がある。出資金は営業者の財産となり、組
合員は営業者の行為に関して権利義務関係は
なく、営業者の活動の表に出ないので「匿名」
と言うそうだ。以前は、詐欺や詐欺まがいの
ケースが多かったようだが、2004年末の証券
取引法の改正により、匿名組合への出資も有
価証券と見なされるようになり、目論見書の
交付や金融庁への届け出が義務化された。

 もともと事業の趣旨や志を支援する性格が
強く、見返りを求める傾向は薄かったが、配
分実績が上がるにつれ、配分金目当ての出資
者も増えてきている。中国雑技団日本公演時
の例では、集客が伸びず48%もの損失を出し
たものの、英治出版のブックファンドでは、
期間満了19冊のうち11冊に配当がつき、最高
では332%の配当がついた。また、市民出資に
よる風車は5基稼働中だが、いずれも億単位
の資金が集まり、すべてに配当が支払われて
いる。貯金でも株でもない夢のある新たなお
金の使い方として、出資するのはもちろんの
こと、新規事業立ち上げの手法としても活用
する価値は大きい。