エデュテイメント
遊びながら実社会を体験できる
キッザニア東京への期待
10月5日に東京は豊洲にオープンした子どものため
のお仕事体験テーマパーク「キッザニア東京」。評判
は上々で、土日の予約は半年先まで満杯だ。6000平米
の屋内に現実の2/3サイズの街をつくり、そこに1業種
1社で50社の大手企業がパビリオンを出展、約70種類
のお仕事が体験できる。入館するとトラベラーズチェ
ックが渡され、50キッゾに換金可能。お仕事をすると
8キッゾがもらえ、サービスを受けたり買い物をする
とキッゾを支払う。残ったキッゾは貯金しておくと10
%の利子が付き、次回来訪時に使えるなど、現実社会
を疑似体験する仕組みだ。
ピザを実際につくって食べたり、消防士体験では放
水をしたりと、とにかく、子どもだましではなく、施
設もアクティビティも精巧にリアルつくられており、
子どもならずとも、大人もしたくなりそうだ。残念な
がら、大人は参加はもちろん、口出しもできず、子ど
もたちは、親を「預けて」好きに仕事ができるように
なっている。そもそも大人だけでは入館すらできない。
この種の試みは、ドイツのミニミュンヘン、日本で
もミニさくら(千葉県佐倉市)など、市民ベースでは
以前からあったが、これは1999年にメキシコシティか
ら始まったビジネスで、今回の施設は米モントレーに
続き、その第3号。1日に2000人未満しか収容できず、
収益の大半は出展企業に依存するためか大企業志向で、
農業体験や起業体験といった、いま最も必要とされて
いるアクティビティがないのが残念だ。
それでも、テーマパークといえば、ディズニーラン
ドを筆頭に、キャラクター消費の場といった感が強い
なか、今後、こうした教育的要素に重点をおいた「エ
デュテイメント」(教育+娯楽)型テーマパークがも
っと増えることを期待したい。ニート対策に有効かど
うかは疑問だが、修学旅行先として、ディズニーラン
ドより志があって好感が持てる。