自動集金の元祖ダイヤルQ2ビジネス成功の極意/
−ダイヤルQ2ビジネスは、いまだ健在。優れた課金システムとして有効
ダイヤルQ2(以下「Q2」とする)は、過去のものと思ってる方は多いだろうが、まだまだ活用できる少額課金の裏技的存在としていまだ健在である。申請の煩雑さと腹立たしさ(!)、5カ月毎という短期の契約更改、厳しい倫理審査(審査料1番組5カ月6825円)といった難点も健在ながら、月額17,000円+情報料の9%で、通話料とともに情報料をNTTに料金回収代行してもらえるメリットは大きい。情報料は税込1回315円が上限と、低額なことがこれまた難点だが、パスワードジャンル(利用者がパスワードをNTTに申請して初めて利用できる番組ジャンル)を使えば、時間課金も選べ、課金に制限はない。また、高額な装置を準備せず個人が電話で対応する対話式も選べる。そこで、現状を概観し、可能性を見ていきたい。
◆ダイヤルQ2のベスト番組
株・競馬・占いのベスト3で半数占める
2004年3月末現在のQ2は、281番組1124回線。最盛期の百分の一以下だが、生き残っている番組には、それなりの理由があるはずだ。NTT東西によるQ2のナビゲーションサイト「Qプラザ」(
http://q-plaza.com/ )には、現在166番組が掲載されており(未掲載の115番組がアダルトと思われる)、これを集計・分析すると、おもしろい事実がいくつも見えてくる。
Q2番組の多い分野を見ていくと、株式45番組(27%)、競馬20番組(12%)、占い17番組(10%)、悩み・相談13番組(8%)、先物商品10番組(6%)の順となっている。ベスト3で約半数、ベスト5で2/3近くを占める計算だ。また、誰もが利用できるオープンジャンルは124番組(75%)に対しパスワードジャンルは42番組(25%)もあり、意外に健闘している。なお、情報料を上限額に設定している番組数は37番組(78%)となっている。同じ300円でも、携帯公式サイトが月額300円が上限であることを考えれば、1回300円は、実はダイヤルQ2の難点ではなく大きなメリットになる。
実利情報・占い・相談は人気番組
以上から、Q2に向いている市場は、実利情報・占い・相談の3分野であることがわかる。株・ギャンブル・占いなどに関して、有料でも魅力あるコンテンツを持ち合わせている人は、いまからでも参入の余地はある。ただ、ギャンブル情報は、現在では大人向け要素のある番組と解釈され、パスワードジャンルでの提供しか認められていない。そのため、すでに情報がほしいという会員が確保できており、その場合の課金手段として捉えれば、パスワードジャンルでも十分成り立つ。
◆対話方式やパスワードジャンルも活用次第
対話方式で1人ビジネスの道が見えてくる
166番組のうち、情報形態の別では、電話(テレホンサービス)107、FAXサービス29、対話36、パソコン通信1となっており、対話が意外に多いことに気づく。対話の内訳を見ると、相談と占いがほとんどで、ここから装置を使わずに開業できる1人ビジネスの道が見えてくる。すなわち、コーチング・カウンセリング・コンサルティングなどであれば、お客様から電話をかけてきてもらえれば課金できるのである。1回300円では割に合わない場合は、パスワードジャンルを選択して、利用者パスワード利用を申請してもられば、1分100円が上限ながら時間に制限はない。利用者にNTTへ申請(無料)をさせる手間は、ちょっとした無料会員制と捉えれば、無理な話ではない。
対話式の場合は公的資格が必要
注意すべきことは、対話による場合、公的資格をもった本人が対応する企画とし、その証明書のコピーを添付して申請しないと、審査が通らないことである。占いに関しては公的資格は存在しないので、現状では、新規申請は困難な状況にある。もっとも、どこまでを公的資格というかは、NTTおよび倫理審査機関である全日本情報通信サービス協会(旧全日本テレホンサービス協会)の判断によるため、民間資格でも通る可能性はあり、ここは交渉次第かもしれない。
◆番組申請の方法
「じっくり・詳しく・怒らずに」が原則
Q2の申請窓口は、地域のNTTの営業支店になる。一度でもQ2の申請した経験のある人には「じっくり・詳しく・怒らずに」はすぐわかる話なのだが(笑)、とにかく担当と親しく仲良くなり、じっくり相談して進めることだ。ただ、担当レベルでの判断の裁量はほとんどなく、申請が通るかどうかは、いかに企画書を懇切丁寧にわかりやすくくどいほど詳しく書くかにすべてはかかっている。1回で申請が通ることは稀で、NTT側が指摘してきたことに腹がたっても我慢して企画を修正・訂正し、何度も再提出するしかない。そのため、サービスインまでには、半年は見ておいた方がいい。1回申請が通ってしまえば、後は5カ月毎の契約更改の煩雑さはあるが、大きく企画を変更しない限り、比較的楽である。
◆Q2ビジネス成功の条件
話題性があり会員が確保できれば十分成功の可能性がある
これまでのQ2ビジネスの失敗の多くは、利用促進のために広告費をかけ過ぎたことにある。価値あるコンテンツだから、広告費をかけても回収できるという誤算が多かった。広告費をかけないなら、大きなビジネスには育ちにくいのは事実だろう。しかし、収益性を考えれば、十分魅力あるビジネスは可能だ。私の判断では、広告費をかけなくても十分利用が見込めるならば、Q2として「あり」だ。それは、1.話題性などがありパブリシティとして大きな露出が見込める、2.タイアップなどで広告費をかけなくても大きく露出できる、3.自社メディアがあり無料で広告が打てる、4.すでに利用が見込める会員を確保しており、その会員が有料でもほしいコンテンツがある、といった場合だ。
たとえば、1については、タレントや有名人をコネクションなどで安価でうまく起用する案が考えられる。Q2募金ダイヤルなどもこの例に入る。2では、テレビ局やラジオ局とタイアップし、番組で告知してパーソナリティのメッセージなどがFAXで取り出せるというサービスがすでにある。3は、自社雑誌と連動させたリクルートの「ゼクシィゴリヤクFAX」「就職QQダイヤル『きく姫』『みる蔵』」、アットホームの「家探しFAX」、公募ガイド社の「FAX公募懸賞ガイド」など数多い。4は、実例では競馬が中心だが、各種ファンクラブ会員向け情報や、コアでディープなオタク系情報に、まだまだチャンスがあると考えられる。
効率的に告知できるかどうかがカギ
ちなみに、私が1997年に始めたQ2による「FAX企業・経営者情報」(0990-51-9191/詳しくは http://cc-pr.net/kigyo 参照)も、小規模ながらいまだに健在で、これは、上記2と、会員はいなかったがリピート利用による固定客化、この2つが、安定して継続できている理由ではないかと思っている。このように、言い換えれば、いかに効率的に告知できるか、にQ2成功のカギがあると言って良い。
以上から、不十分ながら、まだまだニッチな裏技的存在として、Q2は可能性があることを感じていただけただろうか? 私は本誌2001年2月号で、「Q2はニッチなビジネス。的を絞ることでローリスクミドルリターンに」という原稿を書いたが、このことは今でも全く同じである。ユーザーには固定電話がありさえすればいいのだから、ある意味、これほど優れた少額課金システムはない。アイデア次第で、まだまだ活用の余地があるのがダイヤルQ2なのだ。